ニビイロ−第十七話−
※下に書いてあるのはト書きです。
※アドリブを入れるのは自由ですが、台詞の意味などは変えないでください。
※3番タイムなどに、自分の役の台詞とト書きだけでも良いので、ちゃんとチェックしてから演じてください。
※基本的に、色のついたセルは、ト書きです
ニビ | 男 | 25歳前後 一応主人公 詳細不明のサイボーグ。(四肢機械) 本人に関する記憶を一切失っている。 ニビの街の工場では、用務員兼事務の手伝い(いわゆる雑用)の仕事をしている。 基本的には、口数は少なく、穏やかな性格をしている。 エンとタタラを穏やかに見守っているようなタイプ。 |
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エン | 男 | 20歳前後 「ハコビ/ソラ」の一族の一人 ハコビの頭領の息子。 へヴィスモーカーでドライなようで結構熱血(?)タタラとは家が近所で、幼馴染。 エアフォークで物資を運んで空を飛び回る。 タタラとはよくからかい合う仲ではあるが、若干タタラの兄のような表情を見せることもある。 |
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エリン | 男 | ロギザの皇帝。20代後半から三十代前半。 穏やかな性格で、民の事を第一に考えており、節約・倹約に努め、質素すぎる生活を送る。 祖父・父の長い悪政により弱くなったロギザを、何とか立て直そうとしているが、上手く行かない。 |
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宰相 | 男 | ロギザの宰相。70代前半 代々、王族に仕えて来た一族であり、優秀な人物を数多く排出してきた一族の者。 彼本人も、エリンが生まれた頃から教育係を勤めており、その苦楽を共にしてきた。理解者。 温厚で知的な人物。しかし、エリンの「天使」に対する考え方は理解できない。 前半部分でしか台詞がないため、キュウとの被りも可 |
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キュウ | 男 | 50代中盤 エンの伯父・ヨクの兄 今回、せりふが少ないので、メンバーが足りない場合は宰相との被りも可。 |
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ザヴィ | 男 | 20代中盤〜後半 ロギザの「天使」の一人。ザブィバーチ 『忘却』 いろいろと忘れているが、根は純粋。もう一人のニビのような感じ。 |
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マリ | 女 | 20代中盤 ロギザの天使。マリートヴァ『祈り』 他の天使たちを思いやる、優しい性格の天使。 |
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ジズ | 男 | 8歳ぐらい ロギザの天使。ジーズニ『生命』 スミェルチの双子の兄。善悪のついてない、無邪気な子。 |
底抜けに明るい感じでお願いします。 |
ルチ | 女 | 8歳ぐらい ロギザの天使。スミェルチ『死』 ジズの双子の妹。善悪のついてない無邪気な子。 台詞が少ないので、メンバー少なかったら、マリと被りでお願いします。 |
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ナレ |
時代・世界観 舞台背景など |
高度科学(高度工学?)と魔法がまだ共存している時代。 舞台となる、工業都市・ニビは、世界でも有数の工業都市。 そこで作られるものは、高評価を得ていた。 その街で暮らすものたちは、ほとんどの職業ごとに、一族に分かれている。 |
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ホムラ一族 | フイゴ率いる炎の一族。 炎を扱う事に長けており、またそれを生業とする一族。 フイゴの娘、タタラが頭領代理。 |
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ハコビ/ソラ一族 | ヨク率いる空の一族。 風を読む事に長けている。空輸、または運搬艇を使った資材運びを 生業としている。 ヨクの息子、エンは、若手のまとめ役。 |
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タテシ一族 | ゲンコの一族。 大工仕事や建設、いわゆる「建てる事」を生業とする一族。 ゲンコは、この中でも期待されている若手。 |
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ソラフネ | 飛行機のようなもの。空を飛ぶ船。 ニビの街では、これや準ずる物を盛んに作っている。 兵器等を積み込んだ"戦艦”も作られる。 |
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ソライス (エアースクーター) |
ソラフネと同じ構造で、空を走る。 見た目はバイクのタイヤが無いバージョンみたいなもの。 エンもよく乗っている。 |
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ツクラレ | いわゆるサイボーグ。 四肢を亡くした者は、その代わりに機械義肢をつけられるが、 痛みを取り払い、すぐに機械義肢を元の身体のように動かせる代償として、記憶を奪う。 |
ナレ | 「ロギザの首都・サンマラーリ。 その中心にあるロギザ国王宮。荘厳な雰囲気の建物ではあるが、内部に装飾などは一切ない。 宮殿と言うには似つかわしくない場所。 先代までは豪奢な建物ではあったのだが、現王・エリンになってから、 それは全て国の民を守るための資金として使われている。 執務室にて、若き王・エリン=ヴリヤーニエ三世は、国の政治に負われている。王とは思えないほど質素な服装。 たくさんの書類に目を通しては判子を押したり、サインをしたり、何かを書き込んだり、計算をしなおしたりと… 本来なれば、サイン以外の細々とした仕事は、他の役人がやるべき仕事であろうが……」 |
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(SE:廊下の向こうから慌しい足音。部屋の前まで来て、扉を勢いよくあける) | ||
エリン | 「どうした?騒がしいな」 | |
至って穏やかに。 | ||
宰相 | 「エリン様、報告にございます!!」 | |
息を切らせながら。ご老体に全力疾走はきつい。 | ||
エリン | 「まぁまぁ、そこに座って、水を飲んで少し落ち着きなさい。お前ももう年なのだから、無理をするなと言っているだろう?」 | |
机の上の水差しから、空いているコップに水を入れて差し出す。 宰相はエリンの幼い頃からそばに仕えている者。父親を思いやるように。 |
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宰相 | 「ありがとうございます…」 | |
机の前の椅子(城に仕えている老いた者たちの為においてある)にすわり、素直にそのコップを受け取り、水を飲む | ||
(SE:水を飲み干す音) | ||
宰相 | 「ぷはぁ…」 | |
エリン | 「それで報告とは何なんだね?言ってみなさい」 | |
机にペンを置いて、頬杖をつく。 | ||
宰相 | 「エリン様……サボールの天使が一体、出奔しました!」 | |
エリン | 「ほう…で、どの子が逃げ出した」 | |
別段慌てる様子もない。 | ||
宰相 | 「検体番号Д-0008XX…ザブィヴァーチがある日忽然と姿を消したそうです!」 | |
Д…ディー | ||
エリン | 「ほう、ザヴィが…まぁ、慌てることもないだろう」 | |
本当に気にしていないようすで、茶(そうとう薄い)をすする。 | ||
宰相 | 「エリン様!我が国の天使は最高機密…おいそれとバレては困ります…!!」 | |
普段から、エリンののんびりさ加減には頭を抱えるところ。 せりふにもあるとおり、天使計画は、ロギザの最高機密であり、天使と言うのは危険を孕んだモノの事。周りへの心配がある。 |
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エリン | 「なぁに、あの子は大丈夫さ。いろんな事をすぐ忘れてくれるからね。 そのうち、自分が帰るべき場所も忘れて、案外と普通に生活しているだろう。あの子は優しい子だからね」 |
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エリンは天使たちの事を、よく把握している。自分の子供…または兄弟たちのようにも考えている節がある。 天使たちが作り出された理由も知っているが…いずれは市井に出し、普通の暮らしをさせるつもりであるから、気楽なもの。 |
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宰相 | 「エリン様!!」 | |
諌めるように、強く。国王はそうは言っているが、他の者にとっては、「天使」は恐怖の対象でしかない。 | ||
エリン | 「まぁ、落ち着きなさい。もうこの国はあんな時代を過ごす事はない。 今しばらくはお前達や、国民には苦しい生活を強いる事となるだろうが… 天使たちだって、無駄に造る必要もない筈だ。 私は丁度、彼らが市井に紛れてどう生活するか、見てみたいと思っていたのだよ」 |
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宰相 | 「しかし…!!エリン様、あなたはのんびり構えすぎです!」 | |
エリン | 「グニや双子達…その他凍結中の子等だったらまだしも、他の子達は無意味に他人に危害を加えたりはしないさ。 誰も悪い子なんて居ないんだ。お前は心配しすぎだ」 |
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宰相 | 「ですが、もしザヴィがあの力を使って回ったとしたら…大変な事になりますぞ!」 | |
エリン | 「それはそれで良いじゃないか……悪用する事を、彼は知らないからね。 あぁ、そうだ…リェーバの街の聖堂が、自爆したそうだね……」 |
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宰相 | 「はぁ…その事についてですが調査はまだ…」 | |
エリン | 「調査なんてどうでもいい、急いで孤児や浮浪者を収容している修道院への援助を進めるんだ。 他にも、困っているような者が居たらすぐに助けてあげなさい、二度とあのような事は繰り返してはならない…!」 |
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厳しい口調で。民の事を第一に考えている。 | ||
宰相 | 「御意にございます。城の蓄えも、できる限りは……」 | |
何度も頷きながら。彼も、民の事を大事に考えている。 | ||
エリン | 「あぁ、それと……」 | |
宰相 | 「はい?」 | |
エリン | 「天使たちを今後、検体番号等で呼んでやるな。あの子達も自我をもっている…物ではない」 | |
口元は笑っているが、目は怒っている。「物ではない」は、柔らかく…しかし、釘を刺すように。 | ||
ナレ | 「エラプア王国の砂漠、そのど真ん中にあるキュウの給油屋の前では、三人がキュウとの別れを惜しんでいた」 | |
ソラフネの操舵室の窓から、エン・ニビ・ザヴィが顔を出している。下からキュウが見上げている。 | ||
キュウ | 「気をつけていけよ?何があっても操縦桿から手を離すんじゃねぇ!周りの状況確認をしっかりとしろ!」 | SE:ソラフネのエンジンの轟音 |
エン | 「解ってるって」 | |
血筋だなぁと、実感している。(父と同じ事を言っている) | ||
キュウ | 「ニビ、ザヴィ…おめぇ等はもっといろんなもんを見ろよ。世界は広いぞ」 | |
ニビ・ ザヴィ |
「はい!」 | |
声劇の場合、ザヴィの役の人で。 | ||
キュウ | 「それと、エンにあんまり苦労させんなよ?」 | |
ニビ | 「はい!」 | |
エン (心の声) |
『まったくだ…』 | |
実際エンは見かけによらずお人好しで面倒見が良過ぎるが、まさかニビ×2見たいな状態になるとは思わなかった。 | ||
キュウ | 「それと、何かあったらここに来い。俺はいつでもここに居る」 | |
エン | 「あぁ、ありがとう…ほんじゃ、行くわ」 | |
ソラフネの機体を宙に浮かせ、バーナーをふかす。 | ||
キュウ | 「おう、気をつけろよ〜!」 | ザヴィ・ニビ 二人で窓から手を振っている。 |
ニビ | 「おじさんもお元気で〜!」 | |
キュウ | 「おうよ!ニビもザヴィも訳の解らんもん食って腹壊すなよ〜!!」 | |
ソラフネの機体が上昇を始め、手を振るキュウが段々と小さくなっていく。 | ||
ニビ | 「ねぇ、エン。次は何処に行くの?」 | |
エン | 「燃料も詰まったことだし、このままドギルに直行だ。このソラフネの引渡しがあるだろ」 | |
ニビ | 「そうだね。次はツギルに寄って僕の仕事だね」 | |
エン | 「忘れんじゃねぇぞ。街に医療物資買って帰る仕事なんだからよ」 | |
ニビの街は、医療物資などは外部から入手している。ツギルとはそういう契約を結んでいる。同盟国みたいなもの。 (医療物資を安く手に入れる代わりに、ニビの街からは兵器を安く売っている) |
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ニビ | 「うん…手順は、スイトさんが紙に書いてくれたし、説明もしてくれたから何とかなるよ!」 | |
スイト…オサメの人物。ニビが働くようになってから、ずっと仕事の世話をしてくれている人物。初老の男性で、非常に穏やかな性格をしている。 しかし、仕事のほうはきちんとこなし、尚且つ話もわかる人間なので、ニビの街では一目置かれた人物。 |
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エン | 「じゃ、大丈夫か。スイトさんなら」 | |
頷きあっている二人を見て、ザヴィは何か言いたそうにしている。 | ||
ザヴィ | 「ねぇ…」 | |
エン | 「ん?どうした?」 | |
ザヴィ | 「二人はどうしてニビの街から来たの?」 | |
エン | 「あー…あのな、仕事だ。仕事」 | |
ザヴィ | 「仕事…エンは運転手なの?」 | |
エン | 「そうだよ。俺達の街では、一族ごとに職業が別れててな。俺はソラ一族。ニビはツクラレだ」 | |
ザヴィ | 「作られた人?」 | |
出会った時にニビには聞いているが、よくわかっていなかった。 | ||
ニビ | 「うん、僕は昔大怪我をしちゃって、手足全部が作り直されたから」 | |
エン | 「その所為で記憶を全部失くしちまったけどな」 | |
ザヴィ | 「記憶とツクラレって、何が関係在るの?」 | |
エン | 「痛みをなくする為の代償ってやつさ。ちょっとの痛みであったら、少しだけしか記憶は失われない」 | |
ザヴィ | 「ニビは腕も脚も失くしたから…それで記憶を無くしちゃったんだね」 | |
ニビ | 「……うん。ほとんど忘れちゃったんだ。街で生まれて育った事以外」 | |
エン | 「ま、今じゃそんなことも関係ねぇよ。ニビはニビだ」 | |
笑顔で。ヅチに戻ってほしい気持ちもあるが、「ニビ」としての人格も認めている。 | ||
ザヴィ | (ニビみたいに、体の部分を作られた人が記憶を失くすのだったら、僕等みたいに、存在を作られた人間は……) | |
ザヴィの胸に浮かぶのは、自分たち「兄弟」の事。実際のところ自分たち自身、謎の部分が多い。 | ||
〜ニビの街の祭り〜 街の中心の広場、櫓を囲んで街の者たちが踊っている。 その周りには店も出ていて、そこで酒を飲んだりしながら見ている者たちもいる。 |
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ナレ | 「ニビの街の祭りは今、最高潮を迎えていた。 街の中心の広場に組まれた、円柱状の工場を模して作られた大櫓の中心の祭壇には、各一族の象徴の物が供えられている。 そして、櫓の上では巫女達が舞い踊り、それぞれの力を見せていく。 ホムラの炎は雄雄しく燃え、ソラの風は荒々しく吹き上げてホムラの炎をいっそう強くする。 その上には、クミ一族のいかずちが轟き、櫓の中心からは、炎を物ともせずにミナモ一族の水が沸き出でる。 湧き出た水からは、モグラ一族の土と生命の力で、色とりどりの花が咲いている」 |
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アコメもホムラの舞を踊るが、炎が段々と弱まっていく。 それに気づいてアコメは一生懸命、炎に力を注ぐが…… 泣き出しそうになるアコメ。それを察してか、炎が再び力強く燃え上がる。 それを見て、彼女はまた、笑顔で舞う。 …アコメに気づかれぬように、櫓の後ろで、タタラが炎の力を使っていた。 |
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ナレ | 「この華やかな祭りは、ニビの街の最大の祭り。街の者達の繁栄を願い、先の戦争での犠牲者たちの御霊を弔う祭り」 | |
ホムラ一族の長の席で、フイゴは櫓のほうを見つめている。その胸中に宿るものは…? | ||
ナレ | 「その祭りを楽しんでいるのは、街にいる者達だけではなかった」 | |
ロギザの山間部にある、古びた大聖堂(サボール)その地下には、楽園がある。 青々と茂る菩提樹の根元、一人の女性と二人の子供が、手を繋いで輪になっている。 |
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ジズ | 「すっごぉい!!空に大きな花が咲いてるよ!姉さま、大きな花だね!」 | 目を瞑って。 映像が脳内に流れてきているようだ。 |
初めて見るものに興奮した様子で。 | ||
マリ | 「ふふ、そうねぇ。もっとよく見て御覧なさい。それは花火と言うものよ」 | |
ジズ | 「わぁ!おいしそう!あれはお菓子かなぁ?」 | |
りんご飴のようなお菓子の屋台が目に入る。 | ||
ルチ | 「かなぁ?」 | |
マリ | 「とっても甘いお菓子よ。いつかきっと食べられるわ」 | |
ジズ | 「ホント?ねぇ、ホント?」 | |
パッと手を離して。 | ||
マリ | 「えぇ、本当よ」 | |
ジズ | 「お外はたくさん、面白そうなものがあるね。ルチ」 | |
ルチ | 「うん、うん!」 | |
マリ | 「さぁ、もう今夜は遅いから、続きはまた今度」 | |
立ち上がって、二人をベッドルームに促す。 | ||
ジズ | 「姉さま、姉さま。僕らもいつか、お外に出られるのかな?」 | |
ルチ | 「かな?かな?」 | |
マリ | 「そうねぇ…いつかはきっと…きっとね」 | |
弟と妹の無垢な問いに対する答えは、確実な事は彼女は言えない。 | ||
ジズとルチは、ベッドに入ってスヤスヤと眠る。 それを見ている、他の上の兄弟達。みな、何か思う事があるようだ。 |
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マリ (心の声) |
『きっと……ね…。ザヴィ兄さまはいったいどこへおいでなのかしら……』 | |
無意識のうちに、彼女は祈りの体勢をとる。 | ||
ドギル行きのソラフネの中、ザヴィは操舵席を出て、展望ラウンジの大窓から外を眺めてボーっとしている。 | ||
ザヴィ (心の声) |
『……ニビにもエンにも、目的があるんだ…』 | |
窓の外は段々と砂漠から森林地帯へと移り変わっている。 | ||
『僕も早く見つけるんだ…僕の……僕の?』 | ||
早くも、自分の目的を忘れ始めている。 | ||
ニビ | 「ザヴィ、ここにいた」 | |
ちょっと探していた。 | ||
ザヴィ | 「あ、ニビ…」 | |
ニビ | 「どうしたの?こんなところで」 | |
ザヴィ | 「ん?ちょっと考え事してたんだ」 | |
ニビ | 「もうそろそろ、ご飯ができるよ。ザヴィもおいでよ」 | |
ザヴィ | 「うん、もう少ししたらね」 | |
ザヴィが笑顔で手を振ったのを確認して、ニビは展望ラウンジから出て行く。 | ||
ザヴィ (心の声) |
『僕の生まれた国はロギザ…生まれた場所はサボール… 僕の名前はザブィバーチ…4番目の天使…僕がここに来た理由は……』 |
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何としてでも、これ以上忘れないように、心の中で反芻する。 |